屋号について

現代活学講話選集7「王陽明」安岡正篤著(2006年、PHP文庫)

藹然あいぜん」を重ねて

いつの頃からか本棚にある「現代活学講話選集7 王陽明」安岡正篤著(2006年、PHP文庫)に、中国明代の学者、崔銑さいせんの「崔後渠集さいこうきょしゅう」という語録にある「六然りくぜん」が書いてあります。

自処超然。人処藹然。有事斬然。無事澄然。得意澹然。失意泰然。
(現代活学講話選集7 王陽明 p94)

このあとに藹然あいぜんについて、つぎのように説明されています。

よく藹然とは何ですかと聞かれるが、これは草冠で、藹然というのは、春になって木々が一斉に青々と伸びる、春万物の新しく栄える姿です。これが藹然。「人に処するに藹然」ということは、つまり人に対しては、いかにもその人が活き活きといい気持ちを感ぜしめられるような雰囲気をいいます。人によっては、いかにもその人に接すると、いい気持ちにさせられる人と、粛然として、ひきしまるような感じをさせられる人とか、いろいろあります。この藹然というのは、いかにも春のような気持ち。春、草木が気分よく青々と伸びる、栄える、そういう誰にもいい気持ちにさせることです。
(現代活学講話選集7 王陽明 p94)

この「いかにも春のような気持ち」で事業に臨みたいと思い、屋号を「あいぜん不動産」としました。

「アイゼン」を重ねて

私は1997年に神戸に住み始めてから約6年間、神戸市民の山岳会に所属し、春夏秋冬を通じて山登りをしていました。
当初、神戸に移り住んだばかりの頃は、就職先の会社以外にまったく知り合いがおらず、週末になるとロッククライミングや沢登り、冬山登山に連れて行ってもらえるのが本当に嬉しかったのを覚えています。
登山とは、自分の足で一歩一歩上り、下界からは見えない頂に立って、これまで見たことのない景色を目にする行為です。
また、最初は簡単に登れそうに見えた山でも、自分やパートナーの体調の変化や天候の変化によって、途中から思いがけず難易度の高い山に変わることもあります。
長崎にUターン移住して、そんな登山をしていた頃を思い出していたときに、ふと気づきました。
このような自分の登山に対する考え方は、長崎への移住を「検討し、決断し、実行する」その過程と重なる、一つのメタファーになっていることに。
そこから、長崎への移住を検討されている方にとって、冬山で雪や氷の上を登る際に靴底に取り付ける滑り止めの金具「アイゼン」のような役割を担いたいと思うようになり、屋号を「あいぜん不動産」としました。

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