長崎県の各市町の2010年度~2021年度の人口推移
前回の投稿で、移住先である長崎の人口が2050年に向けて減少する内容を確認した。
では現在、長崎県に21あるすべての市町で、すでに人口が減少しているのだろうか?
この疑問の回答を得るため、2020年の国勢調査の結果をもとにして、2010年度~2021年度の各市町の人口増減の表を作成した。
なお、ここでの目的は、移住先として考えている長崎県において、どの市町の転入者が多いのか?、また、どの市町の転出者が多いのか?を確認することにあるため、社会的増減(転入者数と転出者数の差)を人口増減として用いている。
上の表の値は、各年度の市町ごとの「転入者数-転出者数」となっている。
そのため、マイナスの数字(赤色)は転出超過を、プラスの数字(黒色)は転入超過を表しており、転入超過のセルを黄色にしている。
一見して分かる通り、多くの市町の、ほとんどの年度が転出超過となっている。
その中で、大村市は12年間一貫して転入超過となっており、佐々町も過半の年度で転入超過となっている。
ただ、上の表では各市町の人口規模に対する転出超過と転入超過のインパクトが分からないため、上の表の値を、2020年の各市町の人口で除算した表を作成した。
この表から、各市町の過去12年間の人口推移について、次のことが読み取れる。
①大村市の「各年度の転出入超過数/2020年の人口」の比率は+0.2%~+0.7%で推移し、12年間の平均は+0.4%。
②佐々町の「各年度の転出入超過数/2020年の人口」の比率は-1.1%~+0.9%で推移し、12年間の平均は±0.0%。
③長崎県で最も人口の多い長崎市の「各年度の転出入超過数/2020年の人口」の比率は-0.7%~-0.2%で推移し、12年間の平均は-0.4%。
④「各年度の転出入超過数/2020年の人口」の12年間の平均値が±1.0%を超えているのは、新上五島町の-1.2%と対馬市の-1.3%。
ここから考える物語
大村市と佐々町はそれぞれ、長崎市と佐世保市のベッドタウンとして転入が超過している。 近年の地方移住のトレンドにより、波佐見町や五島市、小値賀町でも、転入超過の年が複数回、発生している。 ただ、2010年度~2021年度の各市町の人口増減(社会的増減)を俯瞰的に捉えると、離島の上五島町と対馬市を除く各市町の「各年度の転出入超過数/2020年の人口」は±1.0に収まっている。 これは従来、転出者の大部分を占めてきた20歳代の人口減少に伴って、近年の転出者数も減少してきた結果、ここ12年間のほとんどの市町の人口増減率は±1.0%に収まってきたのではないか。 一方、これからの10年は、1990年前後に長崎から転出した団塊ジュニア層が60歳に近づき、同時に、その親世代にあたる団塊の世代が85歳に近づいていく時期となる。 それ故、これからの10年間は、これまでの12年間とは異なるものになる気配を感じる。
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