長崎への移住に向けた検討③:家計調査に見る長崎の特徴【Part3】

公的オープンデータを使って、移住先 長崎について考える。 データ+移住への物語

家計調査ランキングから長崎市の家計支出に関する特徴を確認する【Part3】

前回の投稿で、次は家計調査ランキングの「外食」の項目と「食料以外」の項目に分類されている品目から、長崎の市場の特徴を見てみることにしていました。
※ 家計調査の結果は、都道府県庁所在市と政令指定都市(以下、「各県庁所在市」)単位で集計されているため、家計調査ランキングを確認できる長崎県下の市町は長崎市のみとなります。
まず、「外食」の項目に分類されている品目「外食」、「一般外食」、「食事代」の3つのランキングを見てみると、次の通り、長崎市のランキングは47位~49位と下位になっています。(金額の単位:円)

家計調査の「外食」で長崎市が下位の品目

このランキングの理由として思いつく仮説は、「外食に関する支出金額は、家庭の所得の多寡によって決まるのではないか?」というものです。
ということで、この仮説を検証するために「政府統計の総合窓口 e-Stat」から各県庁所在市(政令指定都市と特別区部を含む)のデータ(具体的には2021年度の「課税対象所得」と「納税義務者数」)をダウンロードし、次の①~③の作業を行いました。
①家計調査結果の「外食」の項目に分類されている品目「外食」の各県庁所在市の金額(以下、「外食の金額」)を抽出する
②各県庁所在市の「2021年度の納税義務者一人当たりの課税対象所得」(以下、「一人当たり課税対象所得」)を算出する
③上記①と②の散布図を作成する
上記③で作成した各県庁所在市の「一人当たり課税対象所得」と「外食の金額」をプロットした散布図が次の図です。
なお、図中の赤色の要素が長崎市を表しており、「一人当たり課税対象所得」が3,078,482円、「外食の金額」が112,911円、となっています。

家計調査(外食)と一人当たり課税対象所得

上の散布図を見て分かる通り、各県庁所在市の「一人当たり課税対象所得」と「外食の金額」の間には、一方の要因の金額が増えると他方の要因の金額も増える関係(正の相関)があること(相関係数は0.8)を確認できます。

ここから考える物語

では、このデータを長崎への移住を検討している私は、どのように読み取ったらよいのでしょうか?
もし私が、全国チェーン店が今後、新たに進出するエリアを検討する担当であれば、「一人当たり課税対象所得」が比較的少ない県庁所在市は、家計調査結果において「外食」に支出している金額も比較的少ないのですから、これらに該当する県庁所在市へ進出することを躊躇すると思います。
そこで、AI(ここでは、ChatGPTとCopilotを併用)に尋ねてみたところ、長崎市にはサイゼリヤや松屋、ロッテリア、ドトールコーヒーは展開していないようです。
ただ、私は全国チェーン店が長崎市へ進出するかどうかについて検討する担当ではありませんし、検討する必要もありません。
そこで一旦、このデータから離れて、自分が実際に長崎へ帰省した時のことを思い出してみます。
そうすると、自分一人で行ったり、家族や友人、親族と一緒に行った美味しくて、長崎弁で話をしながら落ち着いて過ごすことができたお店が長崎のそこここにあったことが思い浮かんできます。
そう考えると、長崎に進出している全国チェーン店が少ないことで、都会地で見慣れた外食店舗の看板を長崎で見かける機会は少ないものの、それにより、個人営業のお店や地元のローカルチェーン店が展開できる余地が残っているのではないか、と思われてきます。
もちろん地方都市は、都会地よりも先に人口減少と高齢化が進行しており、以前の投稿で見たように都会地に比べて人口密度が低いという状況にありますが、この状況に適応しながら営業している魅力のあるお店を長崎へ移住して探索することに私はおもしろさと今後の可能性を感じます。
その上で今後、長崎県下のそのような魅力のあるお店(や風景)を知り、発信することで、長崎への移住を検討する人や実際に移住する人が増え、その移住した人の中から新たに魅力のあるお店を開くような方が出てくることで、長崎の街の奥行きが増し、それにより地域の中でお金が回ることにつながることの役に立てるような不動産業を営みたいと考えています。

家計調査ランキングの「食料以外」の項目に分類されている品目について

最後に、家計調査ランキングの「食料以外」の項目を見てみましょう。
この「食料以外」の項目に分類されている品目のランキングは、移住先となる長崎市での具体的な生活費の特徴を知る上で、有用だと思います。
例えば次の通り、長崎市の「上下水道代」は7位、「バス代」は1位、「タクシー代」は2位となっています。
特に「タクシー代」のランキングは、1位が東京都区部で、これに次いでの2位ですので、目が留まります。

家計調査の「食料以外」に分類されている上位の品目

このランキングは、長崎市が坂の町であることと関係があるようにも感じられます。
ただ、ココで忘れずに確認したいのが、バスやタクシーの燃料である「ガソリン」についてです。
家計調査結果の「食料以外」の項目に分類されている品目には「ガソリン」もありますので、長崎市の「ガソリン」のランキングを見てみると、次の通り、金額は41位、数量が42位となっています。

家計調査の「食料以外」の項目に分類されている「ガソリン」の長崎のランキング

この結果だけでは、長崎市の「ガソリン」の「金額」と「数量」がともに比較的少ない理由がよく見えてきません。
そのため、各県庁所在市の「ガソリン」の「金額」を「数量」で除して「ガソリン」の単価を算出し、その単価が高い上位5位の県庁所在市を整理したのが次の表です。

家計調査の「食料以外」に分類されている「ガソリン」の単価

上の表から分かる通り、長崎市の「ガソリン」の単価(1リットル当たり)は県庁所在市の中で4位となっており、全国的にみて高いことが分かります。
この結果を踏まえて、私は移住先の長崎市内で探索する住まいの条件の一つを「路面電車の沿線に立地していること」にしました。
長崎市を観光で訪れたことのある方の多くが利用した記憶があると思いますが、長崎市内の中心部を走っているこの路面電車(チンチン電車)の存在が、高齢化が進み、坂が多く平地が少ない特徴を持ち、「ガソリン」の単価が高い地方都市 長崎市への移住を考える上で大切な魅力の一つだと思います。
この長崎市での住まい探しの経過についても今後、この藹然日記に投稿して、今後、長崎への移住を検討される方(すでに検討中の方も含めて)のお役に立てればと思っています。

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