家計調査ランキングから長崎市の家計支出に関する特徴を確認する【Part1】
まず最初に、「家計調査とは何か?」という疑問に対する説明が必要かも知れません。
ただ、これを正確に、かつ簡潔に説明するのは、私の手に余りますので、以下にAI(Copilot)が作成した説明文を記します。
家計調査とは、国や地域の経済政策や社会的な課題に関するデータを収集するための調査です。参加者は所得、支出、資産、雇用状況などについて正確な情報を提供します。調査対象世帯数は約9,000世帯です。
出典: 内閣府「家計調査とは」
家計調査は、経済学や社会学の研究において重要なデータ源となっており、政策立案や社会的な問題の解決に貢献しています。
その重要なデータ源である家計調査の結果として、全国約4,700万世帯の中から抽出した約9,000世帯を対象に、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを総務省が調査し、二人以上の世帯の月平均結果が毎月発表されています。
なお、調査結果は都道府県単位ではなく、都道府県庁所在市と政令指定都市(以下、「各県庁所在市」)単位で集計されています。
そのため、長崎県下で家計調査の結果を確認できるのは、長崎市のみとなっています。
以上を踏まえまして、ここからが本題です。
神戸市から地方都市 長崎への移住を考え始めたとき、まず私が知りたかったのは、長崎の(特に、長崎の市場)の現状や特徴でした。
そのため、様々なオープンデータを確認する中で、特におもしろいと思われたのが、この家計調査に基づいて作成、公表されている「1世帯(二人以上の世帯)あたりの品目別の年間支出金額と購入数量について、各県庁所在市をランキングした結果」です。
※2021年~2023年平均の品目別、各県庁所在市のランキング
なぜなら、このランキング結果から、各県庁所在市の特徴を比較確認することができるため、移住先 長崎市の市場の特徴も確認できるのではないか?と思われたからです。
ランキングは、「穀類」や「魚介類」、「肉類」など、全14項目にまとめられ、項目ごとにエクセルデータが公表されています。
例えば、「菓子類」に分類されている品目のランキングを見てみると、長崎市が「カステラ」で全国1位、「キャンデー」で全国2位にランキングされています。(金額の単位:円)
この結果を見ると、「カステラ」に支出している金額が、全国の各県庁所在市の中で長崎市がダントツの1位というのはイメージ通り(むしろ、家計調査の品目に「カステラ」があることに驚きました)ですが、「キャンデー」で長崎市が佐賀市に次いで全国2位というのは、長崎に移住すれば、その理由が分かるのかも知れませんが、今のところ謎です。
ただ、統計局ホームページに公開されている「収支項目分類及びその内容例示」に、「キャンデー」の内容例示として「水あめ」、「ドロップ」、「キャラメル」の3つが記載してあることは、何らかのヒントになるのかも知れません。
一方で、「菓子類」に分類されている品目のランキングで、「ケーキ」、「プリン」、「チョコレート」の3つの品目で、長崎市は最下位から3番目の50位となっています。
「カステラ」に対する支出には、贈答品としての「カステラ」に対する支出が含まれていると想像しますが、長崎市の「ケーキ」、「プリン」、「チョコレート」に対する支出がこれほど下位のランキングであることには、「理由は何なんだろう?」と考えることを促すものを感じます。
「金額」と「数量」の家計調査ランキングの相違から考えること
家計調査の品目によっては、「金額」のランキングとともに「数量」のランキングが公表されているものがあります。
そして、ココでおもしろいのが、「金額」と「数量」のランキングが大きく異なる品目があることです。
例えば、「果物」に分類されている品目「みかん」について見てみると、次の通りです。
上の表の通り、長崎市の「みかん」のランキングは「金額」が42位、「数量」が6位となっています。
つまり、長崎市では、みかんに支出している金額は比較的少ないが、みかんの消費量は比較的多いということです。
ということは、「長崎市で販売されている『みかん』の単価は、全国的に見て、比較的安いのではないか?」という仮説が思い浮かびます。
ということで、公表されているエクセルデータから各県庁所在市の「みかん100gあたりの単価」を算出し、単価が高い県庁所在市の順に並び替えると、次の結果が得られました。
上の表の通り、長崎市で販売されている「みかん100gの単価」は、全国の各県庁所在市の中で最下位から2番目の51位であることを確認できます。
しかも、その単価はランキング上位の県庁所在市の単価の約半額となっています。
ここから考える物語
家計調査の「金額」のランキングと「数量」のランキングが大きく異なる品目は、その県庁所在市の市場の特徴を示しており、移住先を考える際に、何らかの指標になり得るのではないかと思います。
例えば、長崎市の「みかん」のように、「金額」のランキングが低位で、「数量」のランキングが高位の品目の場合、結果として「みかん」の単価が比較的安価なため、「みかん」を好む消費者の移住地として長崎は適していると考えられます。(移住先を考える際に「みかん」の安さだけを追い求めるという方にとっては、熊本市の方がより最適というランキングですが)
一方で、長崎に移住して「みかん」の栽培農家を目指すという方向は、なかなか厳しいように感じられます。(もちろん、「自分は高価な『みかん』の需要を開拓するんだ」という逆張りの選択肢もありそうですが)
だとすると、移住先で自らが携わる事業を考える際には、長崎市における「みかん」の「金額」と「数量」のランキングの関係とは逆の関係、つまり「金額」のランキングが比較的高位で、「数量」のランキングは比較的低位という品目を知ることに、意味があるのではないでしょうか。
ということで、次回以降の投稿では、長崎市のランキングがそのような関係(「金額」は高位、「数量」は低位)にある品目はあるのか?や、「食料以外」や「外食」に分類されている品目のランキングから見える長崎市の特徴といった点について考えてみたいと思います。
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