長崎市(移住先)と神戸市(移住元)の人口密度などの比較確認
長崎市内への移住を検討するにあたり、これまで10年以上、生活してきた神戸市灘区周辺と長崎市の人口や人口分布の違いを確認することにしました。
まずは、市よりも広い「県」の単位で比較確認しました。
「長崎県」と「兵庫県」の2020年度の人口などは次の通りです。
(各数値データは「政府統計の総合窓口 e-Stat」から取得した2020年度の調査結果です)
なお、可住地面積とは、総面積から林野面積などを差し引いた、人が住み得る土地のことです。
上記の表から、長崎県の人口は兵庫県の約1/4(24%)であり、長崎県の総面積は兵庫県の約1/2(49%)であることを確認できます。
意外だったのは、人が住み得る土地の面積の割合を示す可住地率(=可住地面積/総面積)です。
これは、山や坂が多いイメージのある長崎県の方が、兵庫県に比べて2割(122%)ほど高いことが分かります。
次に、「長崎市」と「神戸市」の2020年度の人口などは次の通りです。
上記の表から、長崎市の人口は神戸市の約1/4(27%)であり、長崎市の総面積は神戸市の約3/4(73%)であることを確認できます。
また、県単位で比較したときには意外な結果だった可住地率(=可住地面積/総面積)は、市単位で比較した上記の表では、長崎市が神戸市の約3/4(77%)と、「坂の町 長崎」のイメージ通り、長崎市の方が可住地率が低いことを確認できます。
これらの結果、可住地面積1㎢(=100ha)あたりの人口密度を見ると、長崎市の値は神戸市の約1/2(48%)であることを確認できます。
人口密度の違いは、不動産業に限らず、都市部では成立している事業が、地方都市では簡単に成立しない理由の一つだと考えられるため、地方都市での事業を検討する際に、考慮すべき大切な指標だと思います。
その上で、「長崎市」と同じくらいの人口である「神戸市灘区および神戸市東灘区」の2020年度の人口などを確認してみました。
上記の表から、長崎市の人口は神戸市灘区および東灘区(以下、神戸市2区合計)の人口の約1.2倍(117%)と多いですが、長崎市の可住地面積は、神戸市2区合計の約4.5倍(457%)あり、長崎市の方がより広いエリアに同程度の人口が分布していることを確認できます。
さらに、長崎市の可住地率は神戸市2区合計の3/4(75%)であるため、結果的に、長崎市の人口密度は、神戸市2区合計の約1/4(26%)となっています。
このことは、私がこれまで10年以上住んできた神戸市灘区周辺に比べて、移住先である長崎市は、同じ面積あたりの人口が1/4であることを教えてくれています。
このことを視覚的に分かりやすく、「政府統計の総合窓口 e-Statの統計地理情報システム(jSTAT MAP)」で確認したのが、下の図です。
なお、ここで示している長崎市は市全体ではなく(なにせ、長崎市の可住地面積は神戸市2区合計の約4.5倍ですので、市全体の図では250mメッシュがかなり小さくなってしまいます)、路面電車が走っている北部エリアです。
長崎市北部の限られた平地を走っている路面電車の沿線に、人口800人以上(250mメッシュ)の赤色のメッシュが点在していることを確認できます。
一方で、神戸市灘区および東灘区一帯は、海側から阪神電鉄、JR、阪急電鉄が東西に走っており、その沿線に人口800人以上(250mメッシュ)の赤色のメッシュを広く確認できます。
この長崎市北部と阪神間の人口分布の違いから、都市部と地方都市の様々な違いを読み取ることが出来ると思います。(例えば、総住宅数に占める分譲住宅の割合の違いや用途地域の違い、平坦地の少ない長崎市に対して南側の海に向かって平坦地が広がる神戸市灘区と東灘区)
ここから考える物語
従来、都市部と地方都市の人口密度の違いが、都市部の地方都市に対する経済的な優位性の源泉であり、それが今後も継続することが様々な事案を考える際の前提にされていると思います。
たしかに、地方都市の人口密度の低さは、広範囲に広がっているインフラの維持費用や公共交通機関の事業継続性の問題などを現出させており、すでに、これらの問題を解決することが必要となっています。
一方で、都市部における人口減少や高齢者数の増加、シニア単身世帯数の増加に伴う問題は、これから顕著に現れてくる問題だと思います。
私は、この地方都市と都市部の時間的なギャップを考えるとき、地方都市で成り立つ事業を見出すことが、今後の都市部でも成り立つ事業を見出すことにつながる可能性を感じます。
次の投稿では、地方都市で成り立つ事業を考える際に確認しておくべき、移住先の長崎の消費性向の特徴などを家計調査の結果をもとに考えたいと思います。
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